携帯電話から聞こえる声は、はずんでいた。

 「野球は楽しいわ」

 声の主は酒田南(山形)、関大、大和高田クラブでプレーした三浦泰揮さん(34)だった。11月上旬、三浦さんは韓国・済州島で行われた「第8回韓国済州島国際野球大会」に参加した。同大会には韓国、パラオ、中国、日本、台湾の5カ国のチームが出場。各チームに元プロ野球選手も所属する中、熱戦が繰り広げられた。

 「元球児」が、グラウンドでタイムスリップした。三浦さんは尼崎ボーイズから、酒田南に入学。1年夏からレギュラーで3年連続で夏の甲子園に出場した。2年夏の益田東(島根)戦では、好救援で同校初勝利をマーク。大和高田クラブで現役を引退し、現在は株式会社「STAR FORM」でスポーツアルバムの制作に携わるが、久々の真剣勝負に「ワクワクした」と笑みがはじけた。

 野球が縁で、人と人とがつながった。三浦さんが所属したチームには、尼崎ボーイズで2歳下の後輩だった沖田浩之さん(32)も所属。沖田さんは、明徳義塾(高知)2年時に出場した02年夏の甲子園で全国制覇を達成。左翼手のレギュラーとして、3回戦の常総学院(茨城)戦では、値千金の同点本塁打を放った。亜大でプレー後は硬式野球から離れたが、三浦さんに誘われ、参加を決めた。

 チームは全敗を喫し、悔しさを胸に帰国した。三浦さんは「勝負事なんで、負けたら悔しいです。来年、リベンジしたいです」と雪辱を誓った。「甲子園に出た元球児や独立リーグ、社会人野球、プロ野球などで活躍された方と一緒にプレーできて、幸せでした。これからも、野球の縁を大事にしていきたいです」と笑顔で話した。【久保賢吾】