日本ハム清宮幸太郎内野手(18=早実)とDeNA桜井周斗投手(18=日大三)がプロの舞台で相まみえたその時、今春慶大に進学する正木智也外野手(慶応)は、新フォームに光を見いだした。

 現在、慶大Bチーム(2軍)でプレーする正木はこの日、早実の練習試合に「4番・指名打者」で出場。第1打席に左中間へ大学初本塁打となる2ランを放った。3安打2打点で打線をけん引し、チームは6-0で快勝した。

 試合後、正木は淡々とした口調ながら、試合に臨むまでの裏側を話した。この日の試合まで「調子が悪くて、打てなかった」ことから、打撃フォームを修正。「体が開いてしまっていたので、セカンドの頭を越える意識で」打席に入った。初回の本塁打は内角の直球を最短距離で強振。開かず打てた分、打球は左中間席に飛び込んだ。

 不調の1つの原因は、木製バットへの過度な意識だった。高校時代は通算50本塁打を放ち、高校球界屈指の右の長距離砲として、注目を浴びた。2月から大学の練習に合流したが、「金属から木製バットに変わって、飛ばないという意識が力みにつながった」と分析。周囲から助言を受け、打撃フォームを見直した。

 これからの勝負の舞台は大学球界で、結果に満足する様子はなかった。それでも、「開かずに打てた」感覚は確かに残った。前日には同じく今春慶大に入学する若林将平外野手(履正社)が大学初アーチ。「焦りもありましたが、1本出て良かったです」と少しだけ表情を緩めた。

 清宮が19打席連続ノーヒットと苦しむ中、正木もまた、木製バットの壁に苦しみながら、1つの答えを出した。次の遠征からは、Aチーム(1軍)に合流する予定。開幕戦となる4月14日の東大(神宮)戦に向け、新フォームで長打力をアピールする。【久保賢吾】