この時期、プロ野球選手が戦力外通告を受けたニュースを見るといつも思う。戦力として長年貢献し、球団職員などでチームに残る選手がいる一方、高卒数年で戦力外になった選手はどのような道を歩むのか-。

大阪市内にある近畿医療専門学校はここ数年、野球選手のセカンドキャリアサポートに力を入れる。約5年前から毎年、プロ野球の12球団合同トライアウトを訪れ、選手たちに、引退後の新たな道を提案している。同校は鍼灸(しんきゅう)師やトレーナーを養成する専門学校。入学の助けるだけではなく、同校の整骨院グループへの就職もサポートし、働きながら資格を取得できるシステムがある。

野球独立リーグのベースボール・ファースト・リーグ(BFL)に所属する兵庫ブルーサンダーズとも提携を結び、毎年引退した選手数人が同校に入学しトレーナーなど、新たな道を歩むという。他にも希望する高校野球チームへ実際に治療を行い、選手を続けるだけでなく選手を支える仕事もあるということを提案している。

根底には「プロ野球の世界で成功する人は一握り。新たな世界でひと花咲かせてあげたい」という思いがある。プロに限らず高校野球でも、また他のスポーツでも、レギュラーとして活躍できる選手は限られる。それでもプレーしてきた年月は、選手それぞれ唯一無二の経験だ。スポーツを経験した人が、また新たな形でそのスポーツに携われるように。セカンドキャリアという認識やサポート体制が広まればと思う。【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

施術を行う近畿医療専門学校の小林英健理事長
施術を行う近畿医療専門学校の小林英健理事長