センバツ取材をしていると、とあるアナウンサーが「高校野球でもリクエスト制度を取り入れてもらえないですかね…」と苦笑いで話しかけてきた。

例えば、メディアでも取り上げられた見事なバックホーム。判定はアウトだったがVTRだとタッチできていないように見えたという。その「証拠映像」を流しながら実況するアナウンサーは言葉に窮してしまったそうだ。

得点に関わる本塁クロスプレーは重いジャッジになる。送球によって死角になることも多く、タッチの確認が難しい。リクエスト制度のあるプロ野球なら「正解」が出るが、高校野球では基本的にジャッジが最終。審判は、たとえ確信が持てなくてもその場で結論を出さなくてはならない。微妙なジャッジを下せば「本当に正しかったかな」と気をもむことだろう。

高校野球の審判はいくらキャリアを積んでいても、身分はアマチュアだ。リクエスト制度について、プロ野球の審判から「気持ちが楽になる」と聞いたことがある。審判を救う制度でもあるのだ。

試合の注目度や映像・画像の精度、そして審判の精神的負担を考慮すれば、甲子園大会だけでもリクエスト制度を導入すべき時期に来ているのかもしれない。【アマチュア野球担当 柏原誠】