巨人対阪神 5回裏巨人無死、岡本は右越えソロ本塁打を放つ(撮影・松本俊)
巨人対阪神 5回裏巨人無死、岡本は右越えソロ本塁打を放つ(撮影・松本俊)

こんな言い方をすると語弊があるかもしれないが岡本和真が巨人の4番打者になる流れをつくったのは阪神だと思っている。昨季の巨人-阪神開幕3連戦。ここで阪神投手陣は岡本に2本塁打を含む5安打、8打点を許した。

このとき岡本は6番打者だった。だがこの阪神3連戦をきっかけに波に乗り、シーズン中に「巨人軍第89代4番打者」に昇格した。その後も阪神戦を得意にし、巨人の宿願だった生え抜きの主砲として見事に育っている。

すでに4番打者になっていた昨年8月のころだったか。東京ドームで岡本に少し聞いてみた。巨人の4番打者になったね。すごいな。それにしても阪神戦で打つね。そんな質問に岡本は素直な様子でこんな返事をした。

「4番というか試合に出られているんで。今はいいですね。阪神戦で好調ということですか。そらあ、やっぱり、自然と気持ちが高ぶってくるからじゃないですかね」

奈良・智弁学園卒。生まれも奈良、関西出身の岡本は当然のように虎党だった。それだけにタテジマを見れば燃えるのだ。その記憶があったので今回の連戦前もちょっとだけ聞いてみた。今年も阪神戦でガンガン打ったろうと思ってるんちゃうやろなあ?

「そら、そうですよ。気合入れていきますよ」。笑顔を浮かべながらも闘志をみなぎらせながら言った。おいおい。勘弁してくれ。内心、そう思っていたが本当に大暴れするではないか。たまらん。

この日の巨人先発投手だったルーキー高橋優貴も両親の影響で子どもの頃は虎党だったそう。あこがれは藤川球児、金本知憲だった。さらに巨人の主将・坂本勇人も兵庫・伊丹出身の元虎党だ。もっといえばレジェンド松井秀喜も掛布雅之にあこがれた虎党だったのは知られた話だ。「阪神ファンだった選手は活躍する」というのはG党の間での共通認識だとか。

何を言いたいか。いまの阪神に「次は巨人戦」と聞いて、目をむいて「巨人ならオレがやったりますわ」と言う選手がいるか、ということだ。「相手はどこでも同じ」などと言っているメンタルでは巨人はもちろん、どこも倒す力は出てこないと思う。

負けるときは負ける。戦力差があるのも事実だ。だけど完膚なきまでにたたきのめされた3連敗。やっぱり心の中では「恥をかいた」と思っていてほしい。新元号が決まり平成時代での「伝統の一戦」は今月19日からの甲子園3連戦が最後だ。相手球団にまで元ファンがいる阪神。声をからす虎党が胸を張れる戦いを見せてほしい。(敬称略)

巨人対阪神 阪神戦にプロ初登板する高橋(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 阪神戦にプロ初登板する高橋(撮影・加藤哉)