快勝で阪神が10勝一番乗りだ。勝因はいろいろあるが9回、マルテが選んだ四球は大きかったと思う。青柳晃洋、上茶谷大河の投げ合いは素晴らしかった。この対戦ではめずらしい投手戦。阪神課題の守備もよかった。虎の子の1点を守り切れるかどうか。そう思った矢先の9回表だ。

代わったばかりの平田真吾は試合前までの今季7試合、四球を出していなかった。だが先頭で打席に入ったマルテが得意の選球眼を発揮し、四球で出る。これで流れを引き寄せ、1死後、サンズに試合を決める2ランが飛び出した。こうなると後続が3者連続盗塁を決めるなど、まさにカサにかかった攻め。相手野選でダメ押しの4点目だ。

「先頭打者の四球は得点につながるんや! これは野球100年の歴史(の事実)やぞ!」。03年の虎番キャップ時代、闘将・星野仙一からイヤというほど聞かされたセリフだ。すべてのデータを取ったわけではないと思うけれど星野はそう断定した。そして、実際にこの日のように得点になる場面が多い気はする。

8回まで沈黙していたマルテ、サンズが9回に仕事をした。助っ人の力は勝敗に大きく影響するもの。その意味で現在のDeNAは気の毒なのだが、さあ、第3戦は助っ人野手が出てくるだろうか。

阪神も第3の外国人野手となるロハスがこの4日に来日している。昨季、韓国リーグで本塁打、打点の2冠を引っさげての入団。調整にもよるが、順調にいけば今月中には公式戦に出場可能だろう。

その場合、外国人枠の関係で誰かが外れることになる。指揮官・矢野燿大がどう考えるか分からないが、まずサンズは外せない。投手も今の布陣は簡単には変更できないだろう。そうなるとロハスと代わって外れるのはマルテになる。

しかしマルテにしても慣れてきた日本野球で自身の持ち味を発揮中だ。開幕してここまで走塁も一生懸命だし、課題の守備も頑張っている。なにより成績がすべての助っ人のはずなのに、ボール球に手を出さず、この日のように四球を選ぶ姿は立派だ。

ロハス合流のタイミングでの結果はともかく、はっきりしているのは、国内選手同様、外国人同士の競争も最後まで続くということだろう。競争原理は現在のチームに効果的に働く。チーム内の熱い争いが最後まで続くのは歓迎だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)