おもろいやん。虎党には叱られるだろうが今回の巨人3連戦の結果を受けての率直な感覚だ。「負けて何がおもろいんや!」と言われるだろうが、この3連戦、阪神にすれば1つ勝てば、まずは合格点だったはず。初戦に勝ってノルマは達成。負け越しの結果でも、まだ6ゲーム差だ。

何が面白いと言って巨人を率いる名将・原辰徳が鬼気迫るムードで戦っているところだ。6回無死一塁で代打・香月一也がバントできずに見逃し三振を喫したとき。原は首をひねった後、ベンチのラバーを右手で思い切りたたいて怒っていた。少なくとも過去2年、阪神と戦う原にそんな様子を見た記憶はない。

「このままではすまさん。やっつけてやる」。そんな闘志がありありと伝わってきた。その闘志が伝わったのか直後に松原聖弥の2ランが出た。阪神の攻撃、7回2死二、三塁で北條史也の場面も打席途中での投手交代したのも“あの手この手”で逃げ切ろうとする姿勢がうかがえた。

当然だが巨人も必死である。それが面白いのだ。いわゆる「余裕をかましている」わけではない。せっかく優勝が期待できるシーズンだ。接戦で最後まで行って、ゴールできれば、最高だろう。若いメンバーが中心だが、佐藤輝明ら頼りになる選手が多い今の阪神にはそれができる可能性があると思う。

「いい攻撃ができて頭(初戦)を取って、2つ、3つといきたかったのが正直なところですけど」。指揮官・矢野燿大は交流戦明け最初の3連戦負け越しをそう振り返った。やっている方からすれば当然だろう。だが、そう簡単にはいかない。矢野もイヤと言うほど分かっているはずだ。

この日、オリックスが仙台で楽天を倒し、同率首位に並んだ。パ・リーグは面白い。最下位の日本ハムも首位まで8・5ゲーム差か。まだ先は長いし、下位球団を含め優勝チャンスはある。比べてセ・リーグは阪神の独走状態だが、もちろん、まだ分からない。

しっかり戦って、接戦を取って、シーズンを制する。繰り返すがそれが最高の結果だろう。あえて言えば、ときには鬼のようになる原に対してソフトムードの矢野が、いつ、その雰囲気を変えるか。そこも注目点だ。簡単には勝てない。しかし絶対に最後は勝ちきる。そのためにも土壇場では感情を出し、燃えて戦ってほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)