この3連敗は見た目以上の完敗だったと思う。先発投手はともに互角に渡り合ったが打線のこわさが違った。「飛車角落ち」というか1、3、5番打者がいない打線は迫力不足。この日は石田健大の暴投で1点をもらったが、それを合わせてもこの3連戦で3得点だけ。これでは苦しい。

さらにこの日は才木浩人、前日は伊藤将司と若い投手が踏ん張っていただけにやるせない思いだ。中盤まで踏ん張っても援護のない味方打線に我慢しきれず、終盤で失点。そこに2日続けて野手陣の連係ミスも出るし、これでは勝てる雰囲気にならない。

11カードぶりの負け越しと言っても2勝1敗でやっと貯金1なのに避けたかった3連敗を喫してしまえば一気にはき出しになる。これで7月28日以来の5割逆戻りとなってしまった。

とにかく試合内容が重苦しかった。2回、そして中盤からの6、7、8回と先頭打者が出塁しているのに後続がない。相手投手に抑えられたと言えばそれまで。それでも6回の山本泰寛のバスターから犠打狙いに変えての三振や、7回に打撃期待のはずの陽川尚将に犠打させるなどチグハグな感じは見受けられた。

この3連敗だけでどうこうは言えないが悠長にも構えていられない。例えば、ここはもう少し動ける並びにしてはどうだろうか。中野拓夢、近本光司が抜けている最大の弱みは足が使えないことだ。島田海吏はいいとして2番に経験のある木浪聖也を置く手もある。

下位打線でじっくり打っていたロドリゲスの3番もなかなか機能しない。3試合だけで言うのもどうかとは思うが、やはり6、7番に置く方がいいのかという気配もする。

12日は久々に関西に戻っての中日戦(京セラドーム大阪)だ。相手は大野雄大。左打者を苦手にする左腕に対し、動ける上位打線で島田、木浪から佐藤輝明を3番に上げる。さらに大野を得意とし、この3試合でも好調だった陽川尚将を4番…という大胆なオーダーを想像したりする。

もちろん選手起用、采配が指揮官・矢野燿大の専権事項だ。外野からどうこう言っても仕方がない。それでも、この緊急事態を乗り越えないとせっかくの反撃機運が完全に萎んでしまう。「全員で束になっていかないと突破口は開けない」。そう話した矢野の言葉を思い切った動きで体現してほしいと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 4回裏、マウンドに上がり表情を引き締める阪神先発の才木(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 4回裏、マウンドに上がり表情を引き締める阪神先発の才木(撮影・垰建太)
DeNA対阪神 阪神先発の才木(撮影・上田博志)
DeNA対阪神 阪神先発の才木(撮影・上田博志)