がっかりである。なるべくそういう表現は避けてきたつもりだが、この日ばかりは言わざるを得ない。がっかりというか「こら、あかん」というべきか。なぜ、こんな試合になるのだ。

直接の敗因は藤浪晋太郎だろう。5回、人が変わったように乱れた。暴投2つで2失点。梅野隆太郎とのバッテリーを考えればちょっと信じ難い。結局、7失点だ。さすがに、これでは試合にならない。

だが打線の責任も大きいのだ。DeNA上茶谷大河は今季2度目の阪神戦。前回5月14日は5回途中で7点を奪い、KOしている。1度だけでどうこうはないが、はたして1回、いきなりの連続四球をきっかけに2得点。序盤から優勢に進められる状況になった。

2回も佐藤輝明の二塁打で無死二塁。だが続く木浪聖也は3球目真っすぐを打ち上げ、左飛に倒れた。これで流れが切れる。厳しい言い方だが、ここで二ゴロも打てないようではスタメンは厳しいだろう。苦しむ上茶谷を相手に詰まった左飛では何も起こらないのだ。

続く梅野は一ゴロ。三塁に進んでいれば得点できたかもしれない。その後にセーフティーバントを試みた藤浪が「ちょっとは考えてや」と意思表示をしているように思えた。そして4回から8回まではお得意の無安打行進ときた。

7失点の5回にもいろいろあったと思う。1死満塁で佐野恵太は左前に落ちるポテンヒット。確かに難しいところだし、不可抗力だろう。だが中野拓夢の動きには疑問が残る。途中でロハスに任せたように見えた。ロハスが捕れると思うのだろうか。結果的に捕れないとしても、なぜ最後まで追う気概がないのだ。

その前段階、1死二、三塁で代打オースティンを迎えた場面も考えさせられる。いきなり暴投で同点にされた藤浪は明らかに嫌がっていた。というか、のまれていた。そんなに気持ち悪いなら歩かせればいいではないか。満塁と言っても二、三塁と大差ないだろう。その様子をベンチは察知できないのか。

勝負は時の運だ。必死でやっても負けるときは負ける。だが勝つために「やるべきことをやる。策を練る。やらせる」ということは重要だ。ここまで来て、いまだそういうことが徹底されていないように思える。「こんな試合見せたくないんで」。指揮官・矢野燿大はそう言った。当然だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 5回裏DeNA1死満塁、佐野の打球を捕球できず適時打にしてしまうロハス。左は中野(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 5回裏DeNA1死満塁、佐野の打球を捕球できず適時打にしてしまうロハス。左は中野(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 5回裏DeNA1死満塁、佐野の打球を捕れず左2点適時打を許す左翼手ロハス。左は遊撃手中野(撮影・鈴木みどり)
DeNA対阪神 5回裏DeNA1死満塁、佐野の打球を捕れず左2点適時打を許す左翼手ロハス。左は遊撃手中野(撮影・鈴木みどり)