このキャンプ、初めて具志川組を訪れ、指揮を執る2軍監督・平田勝男にあいさつした。「おーっ、来てくれたんか! ありがと、ありがと!」。平田という人は常に明るい。この様子にタイガースは長い間、助けられていると思う。
前監督・岡田彰布(現オーナ付顧問)の2シーズンはヘッドコーチとして、ともすればピリピリとなるムードを和らげていた。独特の言語感覚を持つ岡田と若い選手たちの間に入って、結構、気を使っていたようだ。2軍監督はこれで実に4度目。勝手知ったる役職で元気がいいのか。そんな平田が言った。
「森木がいいんや、今年は。ビシビシ来とるよ」。21年ドラフト1位の森木大智についてだ。どこがいいのか。もう少し、詳しく知りたいので2軍投手コーチの渡辺亮に「いいのかい?」と聞いてみる。
「まあコントロールはよくなりましたね。去年の秋頃は乱れてましたから。まあ、でもまだまだスタートラインに立ったばかりだと思いますけど」。担当コーチらしく厳しく話した。
どこが変わったのか。「トップの位置を以前より頭に近づけるフォームにしています。前は遠かったので」。真っ黒に日焼けした森木自身が少しだけメカニックについて説明した。
森木を褒めた平田はこんな話もする。「湯浅(京己)もいいしね。ブルペンで連投とかしてるしな。今朝丸(裕喜)も器用なんや。フォークとかなあ」。黄色靱帯(じんたい)骨化症からの復帰を目指す湯浅、ドラフト2位ルーキーの今朝丸と、次々に名前をあげた。
「投手はナンボおってもええんや」。そう、よく聞かされたのは闘将・星野仙一からだった。現状、阪神は先発スタッフの名前が次々に出る。球団によっては先発候補が4人目ぐらいで終わってしまう状況もあるのではないか。
この日の紅白戦で門別啓人、茨木秀俊と両軍の先発投手が2回無失点とまずは順調な滑り出しを見せた。もちろん、まだ打者が手探り段階のこの時期、特筆すべきことではないかもしれないが、制球難のような姿を見せなかったのはいいことだろう。
そこに加え、具志川でキバを研いでいる面々もいる。簡単ではないが、例えば指揮官・藤川球児の地元・高知の後輩にあたる森木らが少しでも1軍の戦力になってくれば、本当に面白いと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




