12年にリトルリーグ世界一に輝いた清宮ジュニアが、再び世界を驚かせるかもしれない。ラグビー・ヤマハ発動機の清宮克幸監督(47)の長男で、「和製ベーブ・ルース」の異名を取る早実(東京)清宮幸太郎内野手(1年)が、今夏日本で初開催される第27回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯=8月28日から10日間、甲子園ほか)の日本代表メンバーに選出される可能性が7日、浮上した。1年生ではPL学園(大阪)清原和博氏(47=元オリックス)、星稜(石川)松井秀喜氏(40=元ヤンキース)ら歴代スラッガーも選出されていない。実現すれば超異例の抜てきになる。

 4月の春季東京大会準々決勝で、高校1号となる130メートル弾を放った清宮ジュニアの周囲が、再び騒がしくなってきた。U18W杯は今夏日本で初開催され、地元で初の金メダルを目指す。出場メンバー20人は、春夏の甲子園で活躍した選手を中心に、全国から選考することになるが、チームの課題の1つに挙がっているのが長距離砲の発掘だ。

 今年は県岐阜商・高橋純平投手(3年)、敦賀気比(福井)平沼翔太投手(3年)、東海大相模(神奈川)小笠原慎之介投手、吉田凌投手(ともに3年)ら投手陣に好選手がそろうが、昨年の智弁学園(奈良)岡本和真内野手(18=現巨人)のようなスラッガーは、全国的に見ても少ない。清宮の存在は既に日本高野連の会議の中でも話題に挙がっており、選考に関わる高校野球関係者は「1度見ておかないといけないと思う」と、直接視察する考えを明かした。

 1年生で日本代表入りとなれば、超異例の抜てきになる。11年からは甲子園に出場していない選手も選考対象になり、最強ジャパンを編成してきた。過去3度出場したU18W杯で、下級生の野手が選出されたのは、12年に2年生で選出された大阪桐蔭・森友哉捕手(19=現西武)だけ。13年の安楽智大投手(18=現楽天)、前橋育英・高橋光成投手(18=現西武)は、いずれも投手だった。

 そのため、清宮が日本代表入りするには、高いハードルが待ち受ける。大会は9月までずれ込み、下級生はセンバツが懸かる新チームの秋の公式戦が始まる時期と重なる。今夏の西東京大会や甲子園で、3年生を上回るパフォーマンスを見せることが必要で、圧倒的な力が求められる。過去には83年夏に優勝したPL学園・桑田真澄投手(47=元パイレーツ)が1年生で高校日本代表に選出された例はあるが、PL学園・清原氏、星稜・松井氏らスラッガーは選出されていない。

 狭き門だが、入学式の3日後に決勝打を放った規格外の勝負強さは魅力的だ。1年生代表となれば話題性は十分で、地元開催で集客も見込める。12年リトルリーグ世界選手権では「4番投手」として、5試合3本塁打で世界一に導き、米国メディアから「和製ベーブ・ルース」と称賛された。将来の夢は「大リーガー」と公言する清宮にとって、米国やキューバが参加する国際大会は、格好のアピールの舞台になることは間違いない。

 ◆清宮幸太郎(きよみや・こうたろう)1999年(平11)5月25日、東京都生まれ。小学3年で野球を始める。東京北砂リトルに所属した12年のリトルリーグ世界選手権では「4番エース」として5試合で3本塁打を放ち優勝。調布シニアでは一塁手。50メートル走は6秒7。足のサイズは31センチ。1300グラムの木製バットで日々ティー打撃をする。家族は両親と弟。184センチ、97キロ。右投げ左打ち。

 ◆U18W杯 8月28日から10日間の予定で、決勝は9月6日に甲子園で行う。他の会場は舞洲、南港中央、豊中ローズとすべて大阪の球場を使用。日本、米国、キューバ、台湾、カナダ、韓国、イタリア、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、チェコ、南アフリカの12カ国・地域が参加。日本の過去最高成績は準優勝。代表監督は大阪桐蔭・西谷浩一監督(45)が務める。