岩手では、双子ではない同じ1年生の兄弟が、大野の初戦突破に貢献した。兄の林下勝也外野手が2安打、弟の健吾捕手は1安打を放ち、仲良く2打点。岩谷堂を一蹴した。

 99年4月22日生まれの兄勝也が流れを呼んだ。初回無死二、三塁から左犠飛。「(打順が)3番なので自分のやるべきことができた」と先制点を喜ぶ。2回には左前タイムリー。00年3月29日生まれの弟健吾も、負けじと4回に右前に2点打を運び、捕手としても完封勝ちを演出。「守備もバッティングも練習通りにできた」。高校入学4カ月足らずの林下兄弟が、15年夏の岩手の開幕を熱くした。

 誕生日が異なる同学年の兄弟は珍しい。岩手・洋野町の帯島小2年の時、帯島スポーツ少年団でそろって野球を始めた。勝也の本職は投手で、小4からバッテリーを組み、大野では春の地区大会で実現。この日は他の投手の登板と点差が開いたこともあり、勝也は右翼と一塁を守った。それでも菅原基監督(48)は「次の花巻東にぶつけます」と、明日12日の2回戦で兄を先発投手に起用。優勝候補との一戦を兄弟バッテリーに託す。

 自宅の部屋は別々で、勝也は帰宅後「自主練習とか、ただダラダラしている」と笑い、健吾は「漫画を読んだり寝たり」と話す。好きな食べ物も肉好きの兄に対して、弟は「そばとか、あっさりしたものが好き」。スパイクのメーカーも異なるが、7年目に入ったバッテリーを組めば自然と息が合う。

 健吾は、兄弟バッテリーが甲子園を目指す漫画「弟キャッチャー俺ピッチャーで!」を読み、2人はそのタイトルとまったく同じで、ストーリーも似ている。勝也は「特に相手を意識しないで、自分の投球に集中する」。花巻東との楽しみな一戦を冷静に待っている。【久野朗】

 ◆林下勝也(はやしした・かつや)健吾(けんご)2人とも岩手県久慈市生まれの洋野町育ち。帯島小から大野中。中学では軟式野球部に所属。今夏の背番号は兄勝也が11、弟健吾は2。勝也171センチ、69キロ、右投げ右打ち、血液型A。健吾160センチ、54キロ、右投げ右打ち、血液型AB。家族は両親と兄。