山形は、谷地が2年連続で開幕戦白星を挙げた。置賜農に先制を許したが、1-2の6回に2番大地史也捕手(3年)の適時中前打で2点を奪い逆転。3投手の継投で逃げ切った。

 喜びが、大地の全身を突き抜けた。1点を追う6回1死二、三塁。左ふくらはぎがつった置賜農の先発須藤が降板し、10分間の中断後に2番手でマウンドに上がった山本の1球目を振り抜いた。「ネクストの打者と話をしてリラックスしていた。内角寄りのストレート。ちょっと詰まったけどセンター前だった。うれしすぎて、つい出ちゃった」。打った瞬間、両手をたたいて一塁へ激走。逆転となる中前2点適時打を放ち、塁上で喜びを爆発させた。

 チーム一のムードメーカーは守備でもけん引した。2点の先制を許す苦しい展開も、捕手として声を張り上げた。「(先制されても)1点ずつとっていこうと声を出していた。自分の売りはチーム一、声を出すこと。打って投手を楽にしようと思った」と仲間を鼓舞し続けた。

 両親がスタンドから息子の活躍を見届けた。父広美さん(56)は谷地高野球部を1年で退部していた。「3兄弟の真ん中で、野球をやっているのは彼だけ。ずっと続けているのは素晴らしい。感無量です」と息子の勇姿を目に焼き付けていた。

 昨年の開幕戦で庄総・加茂を9-4で下したのに続き、2年連続の勝利を収めた。2回戦は昨秋の地区予選で3-7と敗れた天童と激突する。大地は肩の故障により代打出場の三振に終わっている。「チャレンジャー精神でコツコツ頑張っていきたい」。大地の頑張りが、谷地の夏を1日でも長くする。【高橋洋平】

 ◆大地史也(おおち・ふみや)1997年(平9)10月7日、山形県村山市生まれ。戸沢小1年から野球を始め、葉山中を経て谷地に進学。1年春から背番号11でベンチ入りし、1年秋から正捕手。163センチ、63キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、弟。