三田学園は近鉄の強打者だった羽田耕一監督(62)が就任初の夏に臨むもコールド負けした。

 今年2月に母校三田学園の監督に就任した元近鉄のスラッガー羽田監督は、敗戦後「悔しい」と声を絞り出した。4回までは1-2と接戦だったが、5回裏に5安打と守備の乱れで7点を許し、結局7回コールド負け。春の大会の初戦負けに続いて公式戦初勝利はお預けとなった。「おとなしく真面目な子が多いので、試合前から硬くなってしまいました」と恐れていた気持ちの弱さが出た。

 近鉄時代は、通算1504安打、日本タイ記録の4打席連続本塁打を含む225本塁打を残しているが、理想のチームは恩師西本幸雄・元近鉄監督から教えられた「精神力の強さ」に加え「基本に忠実で投手力がしっかりとした、機動力を使えるチーム」だ。

 その片りんは、この日の2回表の攻撃に表れた。主将の5番・角(かど)岳人内野手(3年)が右前打で出塁。内野ゴロの間に二塁に進むと、三盗を決める積極的な走塁で相手を揺さぶった。約半年間、羽田監督の指導を受けた角主将は「あれこれ、うるさく言わない監督さんですが、後輩には監督のやろうとしている野球を実行してほしい」と夢を託す。

 羽田監督は、1970年のセンバツに2年生で出場し、3年生の淡口憲治(元巨人)らと8強進出の立役者となった。「細かいことを見直して、ゼロからスタートする」(羽田監督)。古豪復活へ。元プロ監督として「羽田イズム」を浸透させ、来年こそは夏1勝を挙げる。【坂祐三】