一関学院の背番号11の左腕佐藤一郎(3年)が、先発して6回を打者18人で料理した。わずか1安打を許しただけで無失点。一関二を7回コールドで退け、優勝候補のチームを初戦突破に導いた。

 大事な夏初戦に、佐藤一は落ち着いていた。「初回からしっかり腕を振ることを意識していた」。4回2死までパーフェクト。直後に一関二の3番打者が安打を放ったが、二塁打を狙って憤死。その後は1人の走者も許さず、6回をほぼ完璧に封じ込めた。5奪三振、外野へのフライはわずか1と、最速137キロを誇る速球に球威があった。

 地元・一関市の川崎中3年時に左肘の手術を受け「高2の冬まで、ろくに投球練習ができなかった」。ベンチ入りは今春の地区大会。直後の県大会で公式戦初勝利を挙げ、東北大会準決勝にも先発した。この日の起用に沼田尚志監督(55)は「調子が良かったので。いいピッチングをしてくれた」と褒めた。

 エース左腕佐藤拓斗、常時140キロを超える右腕佐竹城一郎(ともに3年)に続く3番手だが、豊富な投手陣が一関学院の大きな強みだ。6月中旬から下旬にかけての合宿では、10日間で1万球の投げ込みをやり遂げ、今の佐藤一には左肘の不安もない。「1安打に抑えて、チームも勢いに乗れたと思う」。春から頭角を現した背番号11の好投で、5年ぶりの甲子園を狙う第1シードの15年夏が幕を開けた。【久野朗】