泉が春夏40度の甲子園出場を誇る東北を下した。1-1の5回1死一、三塁で森広大成内野手(2年)がスクイズを決めて勝ち越し。9回にさらに2点を奪い、エース右腕大塚康平(3年)が5安打1失点で守りきった。

 番狂わせではない。春の地区大会で7-4で勝った力を、泉が再び証明した。5回1死一、三塁から三塁線への勝ち越しスクイズを決めた2番森広は、東北についてこう語る。「春戦う前は弱気だったけど、勝って自信になった。強いイメージは、今はないです」。かつてダルビッシュも袖を通した伝統のタテジマは、泉ナインには脅威に映っていなかった。

 春と同様、エース大塚が東北を抑えきった。1回裏に同点とされたが、回を経るごとにどんどんテンポが良くなっていく。「相手に変化球を打ってもらった」と得意のスライダーを中心に組み立て、散発5安打。最後の打者の投ゴロを1度はじいた後、落ち着いて一塁に送り終えると、白い歯を見せ仲間と抱き合って喜んだ。

 もともとは捕手だった。高橋秀夫監督(52)の勧めで本格的に転向したのは1年秋。120キロだった球速は、筋力トレーニングの効果もあり、1年半で141キロまで達した。「球1つ1つ、マウンドの雰囲気。ずいぶん落ち着いた」と高橋監督は成長に目を細める。

 春の東北戦では165球を投げ、苦しみながらも8安打4失点完投。「試合の中で修正することを覚えた」と、その戦いが大塚に自信をつけさせた。「やってやるぞ、と思ってマウンドに立ちました。勝ててよかった」。2度東北を倒したエースには、堂々とした風格が漂っていた。【高場泉穂】