全国で15校しかない、第1回大会からの地方大会出場皆勤校・関西学院が接戦を制して初戦を突破した。

 武庫荘総合の最後の打者を一塁ゴロに打ち取り、ベースカバーに入った2番手右腕の舞田航投手(3年)は、小さくガッツポーズをした。

 苦しい戦いだった。1回裏に岩井基泰外野手(2年)の左越えへの逆転満塁本塁打で5-2としたが、先発の谷川悠希投手(3年)が「応援もすごくて、秋と違い夏は独特の雰囲気があった」と実力を発揮できなかった。5回表には2安打と四死球で同点にされると、2死二、三塁で、広岡正信監督(61)は「予定よりも、ちょっと早かったんですけど」と、たまらずマウンドに舞田を送り込んだ。さらに、マウンドにいた谷川を捕手に。舞田はこのピンチを切り抜けると、打者14人わずか1安打、5奪三振に抑え込んだ。

 舞田は「ブルペンでも直球が走ってたので、早く出番が来いと思っていました。サインはすべて谷川に任せていました」と胸を張った。「エースナンバー」を争う2人だが、1年のときから同じクラスで「マイティ」「タニガワ」と呼び合う仲良しで息もピッタリ。

 この作戦、09年の夏の大会、優勝した中京大中京との2回戦で「正捕手兼リリーバー」として山崎裕貴(3年)を、捕手→投手→捕手→投手と起用した作戦をほうふつとさせる。「谷川は、以前は捕手もやっていましたが、本当によくがんばった。接戦を勝てたのは大きいです」と広岡監督。

 全国で15校しかない、第1回大会からの地方予選皆勤出場校。「KWANSEI」の文字を聖地・甲子園で躍らせるのが、ナイン、OBの願いだ。【坂祐三】

 ◆関西学院 1889年(明22)創立の私立校。野球部は1899年(明32)創部。甲子園は春6度、夏7度出場し、春は28年、夏は20年に優勝。主なOBはオリックス宮内義彦球団オーナー、俳優の高島忠夫、作曲家のキダタロー。所在地は西宮市上ケ原一番町1の155。石森圭一部長。