聖和学園のエース相沢英希(2年)が、中部地区大会から2試合連続完封勝利を飾った。白石工を5安打に封じ込め、無四球と安定した制球力を見せつけた。1年秋から登板する右腕は今夏にベンチを外れ、この秋に背番号1を手にした。快勝した聖和学園は、明日20日の2回戦で仙台三と対戦する。

 心がひと回り大きくなった相沢が県大会も完封した。6日の仙台工との中部地区大会敗者復活戦決勝、7回参考ノーヒットノーランに続く快投。「チームの勝利が第一」と振り返るほど、周囲を見渡せるようになった。

 1年秋から登板した。早くから素質を示した。今春「抑えよう、抑えよう」と、気の強さが裏目に出て打ち込まれた。小野浩史監督(33)は「3年生に自分勝手なところがあると思われた」と明かし、今夏はベンチを外された。

 それが転機になった。小野監督は「ベンチを外れたのが悔しかったんでしょうね。自分を見つめ直す時間を持ったんじゃないかな」と言う。1つ1つの練習を「丁寧にやってきた」と相沢。登板時は、ピンチで間合いを少し長く取るなど工夫した。マウンドさばきが向上し、この秋に初めて背番号1を勝ち取った。

 最速135キロを誇り、スライダーなどの変化球を内外角に投げ分ける。「コントロールは自信がある」とわずか97球の無四球。会場の石巻市民球場は、今夏の2回戦(対泉)で9回4点差を逆転されて敗れた。スタンドで応援していた相沢は「最後まで気を緩めるなということ」を学び、この日は5回以降、二塁を踏ませなかった。

 東北大会に出場し、来春のセンバツを狙う。「チームの勝利が大事」と、独り善がりの相沢はもういない。攻撃前のベンチ前での円陣では、選手から「ピッチャー頑張ってるぞ」と声が上がる。信頼も大きくなった。【久野朗】

 ◆相沢英希(あいざわ・えいき)1998年(平10)11月26日、宮城県利府町生まれ。青山小2年の時、利府館山野球スポーツ少年団で野球を始め投手一筋。しらかし台中では軟式野球部に所属。178センチ、68キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。