木更津総合(千葉)の早川隆久投手(3年)が「あと1球」から沈んだ。9回2死三塁のフルカウントから微妙な判定で四球を与えると、捕手の構えたミットに投げ続けていた左腕の制球がわずかに狂った。外角いっぱいからボール半個内に入った直球を連打され、悪夢のサヨナラ負け。「打者の手が届くところに投げてしまった自分の責任」。目前にあった勝利を逃し、ぼうぜんと立ち尽くした。

 腰の疲労骨折から急仕上げで臨んだ影響が、最後の最後に出た。走り込みは年明け、投げ込みは2月中旬から再開。練習試合が解禁された今月8日以降も出遅れを挽回しようとした。登板後に1人で黙々とタイヤを引き、グラウンド脇の急坂を上った。3試合連続で完投したが「体力というより筋力的なスタミナ不足」。8回までファウルやフライを打たせていた球威は、今大会392球目にはなくなっていた。

 大阪桐蔭を破り、秀岳館を苦しめた自信よりも、決め手不足を悔やんだ。「試練を与えてくれたんだと思う。三振が取れる、落ちる変化球を覚えて戻ってくる」。打倒・秀岳館という新たな目標を胸に、早川が再出発する。【鹿野雄太】