高松商(香川)が51年ぶり4強を決めた海星との打撃戦で、珍しい記録が生まれた。10-7と海星打線に追い上げられた8回2死、植田響が高校通算17号。前日27日の2回戦・創志学園戦では、1歳下の弟、植田理が先にアーチをかけていた。「弟に先を越されて、自分も打たないと高松に帰れない。追いつくことができました」と兄が振り返った1発は、1大会では異例の兄弟アーチになった。

 兄は4番で弟は6番。「仲はいいんです。でもチームではライバルですから。ぼくがチームにいる間は4番は守る。ぼくが引退してから4番を打てばいい」と響は力説。それも理の力を認めればこそだ。

 兄の威厳を守ったソロは終盤7点のダメ押しを生んだ。「流れを止めてくれた。長打力は兄の魅力です」と、4安打2打点の弟は尊敬のまなざし。学校の春夏甲子園史上最多17得点を奪い、春56年ぶりの優勝に大きく近づいた。

 ◆兄弟が本塁打 最近では上本博紀(広陵=現阪神)が03年夏の東海大甲府戦、弟崇司(同=現広島)が08年夏の横浜戦で、兄弟そろって先頭打者本塁打を放った。他には72年夏に中川信秀、77年夏に弟の恒延(ともに津久見)、02年夏に田辺佑介、03年夏に弟の真悟(ともに明徳義塾)が打った例もある。