16年ぶりの甲子園出場を狙う浜松商が、14-0の7回コールドで城南静岡を下し、好発進した。1回に4番尾浜徹(3年)が今大会第1号となる2点本塁打を放ち、5回には三塁打と失策絡みで一気にホームイン。大量得点を呼び込む活躍だった。浜松商の部長時代、1978年(昭53)のセンバツVを含む春夏3度の甲子園出場に導いた敵将の船川誠監督(66)に、伝統校のプライドを示した。

 午前9時19分、浜松商の尾浜が強烈な一打を放った。先制直後の1回表1死二塁、内角低めのスライダーを狙った。二塁手の頭を抜けるイメージで振り抜くと、白球は豪快かつ高々と左翼席へアーチを描いた。「入るとは思わなかったです」。本人も驚く2点本塁打は今大会第1号となった。

 高校通算16本目。5月上旬の練習試合以来約2カ月ぶりの1発だった。下降気味の打撃に悩んでいたところ、9日の雨天中止で初戦が1週間ずれ込んだ。「1週間は(軸が)ぶれないように打撃修正してきました」。5回には先頭打者として右中間を破る三塁打を放つと相手失策を見逃さず、一気にホームインした。スタンドから「ほぼ本塁打2本だな」と祝福され、照れ笑いを浮かべた。

 選手たちは6月4日に城南静岡と練習試合に臨んだ際、船川監督の輝かしい経歴を知った。OBから手渡された春夏3度の甲子園出場した当時のグラフ誌を見て、浜松商部長時代の船川監督の写真もチェックした。練習試合は7-0で勝利していたが、尾浜は「ここで負けられないと思っていました」と明かした。

 浜松商の黄金時代を知る名将に、伝統校の誇りをみせた現役選手たち。尾浜は「初戦で硬さもなくなり、自分たちの野球もできました。次につながると思っています」と言った。18日の2回戦では静岡西と対する。【藤中栄二】