長岡大手は日本文理に2-1。エース南田大輝(3年)が、投げては5安打1失点に抑え、打撃では1-1の8回2死満塁で勝ち越しの左前適時打を放つ活躍をみせた。準々決勝は21日、ハードオフエコスタジアム新潟で行われる。

 南田のバットが、自分自身の粘投を価値ある勝利に結びつけた。1-1で迎えた8回2死満塁のチャンスに、勝ち越しの左前適時打を放った。「いい投手は大事な場面で打つと(鈴木春樹)監督に言われてきた。ここで打たなければエースじゃないと、打席に立った」。本物のエースを証明した価値ある一撃。エースが投げて、打って、そして勝った。

 「自分が崩れなければ試合になる。3回戦の村上桜ケ丘戦は打たれて(9安打5失点)みんなに助けてもらった。今回は抑えて、みんなを救いたい」。そう心に決めて挑んだマウンド。切れ味鋭いスライダーを駆使して、豪打が看板の日本文理から快音を奪った。5安打1失点だった。「試合中盤から直球も生きてきた」と南田は言った。

 昨秋の優勝校、日本文理との4回戦。好カードに4600人の観衆が詰め掛けた。普段は開放していない左翼外野芝生席にも観客を入れ、球場は異様な熱気に包まれた。しかし、南田の集中は乱れなかった。丁寧に113球を投げ込んだ。「気にならなかった。悠久山でも、ハードオフエコスタジアム新潟でも、甲子園でも同じプレーをする」。

 3回戦では昨秋準V校の村上桜ケ丘に6-5のサヨナラ勝ち。この日昨秋の優勝校を2-1で下し、長岡大手が夏の中心に躍り出た。「自分たちが勝ってきたチームの分も背負って戦いたい。ここはゴールじゃなくてスタート」。南田は右腕に、負けた選手たちの思いを注入した。【涌井幹雄】