袋井が延長10回の末、1-0で優勝候補の日大三島を破り、30年ぶりの4強入りを決めた。4戦連続先発のエース稲垣淳之介(3年)が強力打線を完封。前日23日の磐田東戦に続く連投だったが、味方の好守に支えられながら1人で投げきった。

 劇的な幕切れだった。1-0で迎えた延長10回裏、1死二塁。袋井の稲垣は日大三島の1番長尾樹(2年)に直球を狙われた。安打性の打球-。同点を覚悟したが、薗田蓮右翼手(3年)がダイビングキャッチで制した。すぐさま二塁に送球し、飛び出した走者もアウトにしてダブルプレー。ゲームセットになった。マウンドに集まる笑顔のナインに囲まれ、稲垣は「周りを信じて打たせて取ることができた」と、仲間たちに感謝した。

 前日23日の磐田東戦は、130球を投げて5-3の完投勝利。この日は、野球を始めた袋井北小2年から、掛川シニア、袋井まで1度も経験したことのない2日連続での登板だった。それでも、右肩の張りは「なかった」という。草薙球場での準々決勝という雰囲気に力みすぎたものの、「周りから『8割ぐらいで投げろ』と言われて良い感じで力が抜けた」と振り返る。言葉通り、最速136キロの直球、80キロ台のスローカーブ、チェンジアップなどを駆使し、延長10回まで131球でV候補の強力打線を抑え込んだ。

 チームは記録員を含め、稲垣ら3年18人全員がベンチ入りしている。「3年生は仲が良い。2年生に良い選手もいるが、チームワークを優先した」と鈴木彰洋監督(39)。事実、稲垣が投げれば周囲が好守でもり立てる。そのムードが袋井の快進撃を支えている。明日26日は浜松商との準決勝。進藤中主将(3年)は「甲子園? 意識するとダメ。目の前が大事」と言った。全員で着実に頂点を目指すつもりだ。【藤中栄二】