前橋商(群馬)が公立魂で私学に粘り勝ちだ。同点で迎えた8回裏。遊失と犠打野選、投安で満塁とすると、3番木暮俊介外野手(3年)が遊失を誘うゴロで勝ち越しに成功。暴投と犠飛でさらに2点を加え、9-6で3時間24分の熱戦に決着をつけた。

 「打倒私学」が合言葉だ。昨夏の県大会は樹徳、秋の県大会は前橋育英と、いずれも私学に阻まれた。冬場は「何事にも強くなる」をテーマに、強いスイング、強い気持ち、強い体作りを目指し、サーキットトレーニングで追い込んだ。

 今春の県大会では3回戦で健大高崎に1-7と大敗した。力負けを認め、森沢駿主将(3年)は「この敗戦を機にゴロでも得点する練習を徹底的にした」と、“弱者の兵法”を追究した。その成果がこの日の初戦、大事な1点につながった。

 夏の大会前に掲げた目標は「繋(つながり)」。単打で「繋(つながり)」気持ちを1つにする。「自分たちの手で公立の時代を取り戻したい」と、森沢主将の信念は揺るがない。創部95年のプライドを胸に頂点へ走りだした。【保坂淑子】