浜名が、センバツ出場校の静岡への挑戦権をつかんだ。昨秋県大会優勝の聖隷クリストファーに4-3のサヨナラ勝ちし、2回戦進出を決めた。3-3で迎えた9回裏1死満塁で、1番打者の石黒竜市外野手(3年)が初球スクイズを決めた。劇的な勝利をつかんだ勢いで静岡に挑む。

 浜名のベンチが、笑顔と涙に包まれた。3-3の9回裏1死満塁。石黒が打席に向かった。相手が守備のタイムを取った間に、ベンチから初球スクイズのサインが出た。すぐに石黒と二塁走者の若松朋弥投手(3年)は、アイコンタクトで語り合った。

 「決めてくれよ」「決めてやる」

 石黒は初球のストレートに食らいつき、一塁線へ転がした。仲間の喜ぶ姿に、涙が止まらなかった。試合前に学校で練習した時から「今日は回ってきそうだ」と感じていた。いつもより入念にバント練習をし、球場に乗り込んでいた。

 「ずっと、みんなに助けてもらって、ようやく恩返しができました」

 サヨナラのホームを踏んだのは、7回裏から代打で出場した山本捷内野手(3年)だ。6月に左もも裏の肉離れを負った。現在も違和感は残っているが、相手投手のフォームを見極めて全力疾走した。2打数2安打とチームの起爆剤にもなり、「最高です。調子がいいので、次も打てます」と胸を張った。

 2回戦は静岡と対する。劇的勝利で挑戦権を得て、横山崇監督(38)は「(今日は)いい試合ができました。次は歴史的な番狂わせを狙いたいです」と言葉に力を込めた。【保坂恭子】