今夏限りの廃部が決まっている市神港と神港橘(兵庫)の合同チームが西宮東を9-1で圧倒した。初回から勢いに乗った。4番笹本慎太郎内野手(3年)の今大会1号となる2点本塁打で先制。その後も好機を逃さず、着実に点を重ねた。

 「1000人で戦おう」。試合前、安田涼監督(41)は選手に声をかけた。春夏合計で15回の甲子園出場を誇り、創部100年の歴史がある市神港。学校統合の影響で惜しまれながらも、今年度限りで閉校となる。先月2日、同校OBで元阪急の山口高志氏(67)の呼びかけで激励会が行われた。安田監督は「山口さんが部員に『1000人の先輩がいる。臆せず戦いなさい』と言ってくれた」。この日もスタンドには多くの「イチシン」卒業生が詰めかけた。安田監督は「今日はできすぎ。たくさんの先輩が来てくれて背中を押されたのでは。1分1秒でもこの野球部を存続させたい」と感極まった。最後の夏、古豪の意地を見せる。