岩手注目のバンカラ決戦となった花巻北-盛岡一戦は、花巻北がコールド勝ちした。

 花巻北が盛岡一を11-1の5回コールドで圧倒し、岩手旧制中学同士の「バンカラダービー」を2年連続で制した。両校約700人が駆けつけた全校応援の中、両校のスタンドにはつぶれた学帽にボロボロの学ランをまとった伝統のバンカラ応援団が陣取った。花巻北・大森遥平団長(3年)は2年ぶりに夏2勝を挙げたにもかかわらず、複雑な表情を浮かべていた。

 大森団長 ライバルには結果的にコールドで勝ったけど、もっと応援したかった。勝敗は抜きにして9回まで戦いたかった。

 3度の雷鳴による計42分間の中断を含む約2時間の試合は物足りなかったようだ。一方の盛岡一・矢部魁一(かいち)団長(3年)は悔しさをにじませていた。「試合は負けたけど、応援では絶対に勝っていた」。7月末で応援団を引退する。自分の身を削ってまで応援してきたのは、胸に秘めた信念があったからだった。

 矢部団長 誰かを全力で応援できない人は、誰かから応援されることはない。自分が主役にならない、誰かを応援し続ける青春だったけど、他の高校ではできない一高だけの最高の経験をさせてもらった。幸せな3年間でした。

 バンカラ応援は県内で6校しかない。大森団長は学校生活時もボロボロ学ランで貫き通す。だが現在は応援団志望者が減っているのも事実だ。「先輩から代々と受け継がれてきたものを残していきたい」。勝利のために、未来のために、バンカラ応援団は声を張り上げ続ける。【高橋洋平】