昨夏16強の磐田南が名門静岡商を破った。延長10回の激闘の末、5-4で競り勝った。初回に3点を奪うも、じわじわと追い上げられ逆転を許す苦しい展開。9回に追いつくと、10回表2死満塁から4番川島耕平内野手(3年)が勝ち越し適時打。投げては左腕エース丹羽優介(3年)が、130球無四球完投。春夏通じての初の甲子園出場へ最高のスタートを切った。

 延長10回裏2死一塁、ファウルフライを伊藤謙祐捕手(3年)がキャッチした。激闘に終止符。磐田南の選手たちが、歓喜の表情で抱き合った。決勝打を放った川島も笑顔で言った。

 「丹羽が精いっぱい投げてくれたので、丹羽のため、チームのために打ちました。スタンドの応援もすごく響きました。今日のヒットは『想像を超えた』と思います」

 選手たちは大会前から戸塚雄介監督(36)に「俺の想像を超えてこい」とハッパを掛けられてきた。県内屈指の進学校ゆえに、7試合を勝ち抜いて甲子園に出場するには「監督の想像を超えていかないと無理なので」と川島は言った。今月1日の練習試合で右ひざを裂傷。治りかけた2日前にも同箇所を負傷し、15針も縫いながらも全力でプレーし、3安打2打点と活躍した。そして、指揮官に「今まで満塁で打てなかったのに、本当に成長しましたね」と言わしめた。

 エース丹羽の最速130キロ前後の直球とキレのいいスライダー、カーブをバランス良く投げ分け、無四球完投で勝利をたぐり寄せた。「苦しい展開が続きましたが、仲間を信頼して投げました。周りの人は静商さんが勝つと思ったでしょうが、みんなの想像を超えられて良かったです」。

 明日17日の2回戦では、昨夏8強の浜松学院と対する。「ここがゴールじゃない。あと6試合、水野(涼太投手=3年)と2枚で頑張ります」と丹羽。昨夏は16強まで進出した。この夏は、監督だけでなく、応援する人たちの想像も超え続け、本気で甲子園を狙う決意だ。【鈴木正章】