能代松陽が激戦を制し、開校時から続けている夏8強以上を継続させた。延長13回裏1死三塁、1番佐々木洸(2年)の内野ゴロが一塁悪送となる間に三塁走者の清水駿(3年)がサヨナラのホームを踏んだ。投げても3回からロングリリーフし、計156球を投げた清水は「一番多く長く投げた。打たせて取ることができた」と汗をぬぐった。

 3回から清水とバッテリーを組んだ正捕手の三嶋仁智(3年)も奮闘した。6月の東北大会直前に左ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂。春の県大会決勝以来の公式戦復帰になった。交代後の3回裏にチームは3-2と逆転し、改めて存在の大きさを示した。だが9回裏、送りバントを決めた直後に、再び左ひざを負傷し途中退場した。工藤明監督(41)から「バントしても歩け」と言われていたが、本能が許さない。一塁手前で倒れた後もほふく前進で一塁ベースにタッチしてセーフにした。気迫のプレーに延長後は、「次の試合も三嶋を出場させる」がチームのモチベーションになった。工藤監督は「1、2イニング限定の秘密兵器のはずだった。長く引っ張ってしまった」と肩を落とした。だが、夏出場を一時は断念した三嶋は「出られてよかった。でも足は引っ張りたくない。必要としてくれるなら、どんな形でも貢献したい」と前を向いた。【佐々木雄高】