初戦の2回戦から3試合連続完投のエース左腕宇部堅人(3年)が先発し、3点を許して4回途中で降板した。2番手の高柳は打者4人に1死も取れずに1失点。この窮地を救ったのが、3番手で登板した左腕中田だった。「自分の力を試し、出し切ろう」と4回2死満塁を踏ん張って逆転への流れを呼んだ。交代した9回2死一、二塁まで無失点。最後は右腕外野快斗(3年)が三振で締めた。

 春の県大会を準優勝して第2シード。他校からのマークが厳しくなる中、受け身にならなかった。佐々木監督は「春と夏は別なので。初戦で負けても恥ずかしくない。思い切りやろう、と言ってきた」と話す。決勝打の高柳も「目の前の戦いをやることを、テーマにしてきた」と明かした。3回戦では「岩手のドクターK」、千葉英太投手(3年)を擁する千厩(せんまや)を撃破。無欲が快進撃を支える。

 38年ぶりの4強入りにも、佐々木監督は「あんまり意識していない。今まで通り1試合1試合をやっていくだけ」と冷静だ。それでも公式戦の登板経験がほとんどない中田、外野が接戦で好投したのは連戦になる準決勝、決勝への大きな収穫。総合力をアップして、岩手の頂点まで突っ走る。【久野朗】