努力で強豪校のベンチ入りを勝ち取った。天理(奈良)の輪島大地投手(3年)は元横綱の輪島大士氏(69)を父に持つ。動画で見た父の現役時代の姿は「強気なところが格好良かったです」。東京都出身だが、幼少期に甲子園出場した天理を見てあこがれた。「遠くへ行って、厳しい環境でやりたい」。親元を離れ、飛び込む決意をした。

 有望な選手が集まる強豪校、レギュラーは簡単ではない。今冬は週に5度、160キロの負荷をかけながらスクワットを行った。187センチの大きな体は8キロ増えて、87キロに。今春、晴れてベンチ入りすることができた。春の県大会で初登板。最速は140キロ前後。持ち味の「重い球」を投げ、最後の夏のメンバーに選ばれた。

 父は時々連絡をくれる。冬場には「今がしんどいところだから頑張れ」とシンプルな手紙。春にベンチ入りした際には「おめでとう」と電話をくれた。「チームを勢いづけられる投球がしたい」と輪島。この日の登板はなかったが、力強い投球を見せるつもりだ。【磯綾乃】