日本航空石川は9回2死から4連打で逆転勝利。今大会出場選手で2番目に重い体重97キロの上田優弥外野手(2年)の決勝打で木更津総合(千葉)を退けた。

 日本航空石川が誇る、97キロの大きな4番上田が最後に試合を決めた。9回2死から3点差を追いつき、なお一、三塁。スライダーを振り抜くと打球は左前で弾んだ。「ここで打てばヒーローになれる!」。それまで4打数無安打だった男の意地だった。4連打で4得点の逆転劇を締め「一番うれしいです」と満面の笑みだ。

 185センチ、97キロの左打ち。体重は今大会出場選手の中で、秀岳館(熊本)吉安雄飛内野手(99キロ)に次いで2番目に重い。小学6年時にはすでに170センチ、75キロだった。分厚い上半身に、きゅっと締まった下半身の見た目から、人気映画「ミニオンズ」に怪盗で登場する「グルー」の愛称でナインから親しまれる。

 勝負強さが自慢だ。石川大会準決勝の星稜戦も8回に5点差を追いつき、延長11回にサヨナラ打を放ったのも上田だった。中村隆監督(33)は、ミラクル軍団に「明るくみんなお調子者。乗ったときは集中打を打ってくれる」と目を細める。「おいしいところを持っていきます」。上田は、ちゃめっ気たっぷりに笑った。【磯綾乃】