注目の1年生投手の甲子園デビューは、悔しさだけが残った。興南の宮城大弥投手。沖縄大会決勝で公式戦初先発し初完投したサウスポーは、強豪・智弁和歌山との初戦の先発に指名された。スタンドはぎっしりと埋まっていた。

 初回、3者凡退で切り抜けた。2回には2死満塁とされたが、9番打者を内野ゴロとし、ピンチを切り抜けた。3回は1死から安打を打たれたが、ゴロをさばき投-遊-一での併殺。

 バットでも非凡なものをみせた。3回裏の第1打席に先頭打者として右前安打。ここから打線はつながり、一挙6点。勝利への道が開いたかに見えたが、直後から捉えられ始めた。

 4回に守備の乱れと3安打などで2点を失った。5回には智弁和歌山の3番林に2ランを浴びた。4番蔵野に左前安打を許したところで交代を命じられた。

 4回0/3、89球を投げて、8安打4失点だった。

 試合後、涙が止まらなかった。

 「いろいろなことを考えすぎました。甘く入らないようにとか。低め低め、と…。(これまで対戦した打者と)スイングが全然違っていて、そのスイングを見ると不安でした。沖縄に帰ってから、一から作り直して、自信をつけて(甲子園に)帰ってきたい」。

 昨年、U15日本代表として世界大会にも出場。力を発揮できなかった15歳の左腕は、たくましく成長して聖地に戻ってくることを誓っていた。