天理(奈良)は27年ぶりの4強入りで夏の通算勝利数でPL学園に並んだ。今日21日の休養日を挟み、明日22日に準決勝が行われる。

 球史を塗り替え、王者・天理がよみがえった。初回、2点を先制し、なおも2死一、二塁で安原がバックスクリーンにかけた3ランが大会最多タイの60号。続く山口が左翼席に大会新となる61号をたたき込んだ。2年前の夏、早実(西東京)の清宮幸太郎(当時1年)加藤雅樹(同3年)の3、4番が3回戦でかけて以来の2者連続本塁打を、天理は7、8番が放ってみせた。

 「長い歴史の中で、歴史を刻めたのはうれしく思います」と胸を張った山口は6回2死一、三塁の第4打席でも大会62号。夏の甲子園初の8番打者の1試合2発という新記録も作り出した。

 全5試合中1点差勝ちが3試合と苦しんで奈良を制したチームが、先発全員で毎回の20安打13得点で全国制覇した90年以来の4強。86年初制覇時の主将だった中村良二監督(49)を「甲子園は選手を成長させてくれる」と喜ばせた。

 今夏初戦突破の直後、甲子園初采配の中村監督のもとにPL学園(大阪)・中村順司元監督(71=名商大総監督)から「おめでとう。天理はまた強くなるよ」と電話があった。甲子園の頂点を争った80年代、天理とPL学園は練習試合の定期戦を続けていた。当時の中心選手が天理の中村監督。中村順司元監督は「監督の厳しさも優しさもわかる。いい野球をやっておられる」とエールを送った。この日の勝利が、天理として夏通算48勝目。PL学園に並んだ。

 「選手に感謝というか、毎試合感激させてもらってありがとうとしか言えないですね」と中村監督。日々成長する後輩を率いて、夏3度目の頂点へ駆け上がる。【堀まどか】