第28回U18(18歳以下)W杯に出場中の高校日本代表が、大会3連覇中で優勝候補の米国に0-4で完敗した。4番の早実・清宮幸太郎内野手(3年)は、4打数無安打と沈黙。登板した3投手全員が150キロ超の動くボールを駆使した米国投手陣に、チームも2安打と苦戦した。清宮は敗戦を糧とし、来年のドラフト候補がそろったメジャーの卵に、決勝戦でのリベンジを誓った。

 6回2死、3-2からの7球目だった。早実・清宮は四球を確信して一塁に歩き始めたが、球審は無情のストライクコールを告げた。直前、外角143キロ直球をファウルし、球審に判定を確認。「ボール」と返答され、次も同じコースと判断したが、球審の手は上がった。「自分から、ストライクゾーンを崩してしまった。ゾーンの見極めができなかった」と、唇をかんだ。

 登板した3投手ともに150キロ超えで、動くボールを駆使した。唯一のチャンスだった1回1死一、二塁では二ゴロ併殺。力負けしないように、10グラム増の870グラムのバットで対応したが、微妙に芯を外され、無安打に終わった。日本ハム岩舘スカウトが「150キロ超えの動くボールは、日本の高校生ではそうはいませんからね」と話したが、力負けだった。

 打線全体も沈黙した。3番の履正社・安田、7番に降格した広陵・中村も無安打。わずか2安打で三塁さえ踏めず、完封を許した。小枝守監督(66)は「完敗です。例年より、投手陣の制球が良かった」と振り返ったように、四球も3個。開始時間が2度変更され、約1時間半の降雨中断と国際試合の難しさを象徴したが、同監督は「条件は同じ」と話した。

 米国対策として、守り重視のオーダーを敷いた。大勝した初戦のメキシコ戦とは変わり「2番中堅」に前橋育英・丸山、「8番二塁」に仙台育英・西巻を初スタメン起用。攻撃面でも機動力が加わったが、策も出せずミスで追加点を許した。

 試合終了の瞬間、一塁からベンチに引き揚げる清宮は、勝利に歓喜する米国選手の姿を目に焼き付けた。「世界のトップレベルの力が見えた。ここまで照準を合わせないと、世界一にはなれないんだと。あそこで負けて良かったなと、だから優勝できたと言えるように、この負けを無駄にしないようにしたいです」。悔しさをにじませながらも、清宮は前だけを向いた。【久保賢吾】