新潟県勢2校が初戦を突破し、8強入りした。日本文理(新潟1位)は福井工大福井(福井3位)に6-4で逆転勝ち。3-4の9回1死一、三塁で、先川大智中堅手(2年)が中越えの逆転2点三塁打を放ち、熱戦にピリオドを打った。北越(新潟3位)はエース片桐蕗都(2年)から、左腕・幸田大和と右腕・大野絢平の1年生コンビにつなぎ、2安打完封リレーの5-0で日本ウェルネス(長野1位)を下した。中越(新潟2位)は3-4で富山国際大付(富山2位)に逆転負けした。

 これが日本文理の底力。9回の土壇場で3-4から試合をひっくり返した。1死一、三塁のシーンだ。先川がカウント1-2からの直球をフルスイング。打球はセンターの頭上を越えた。「タイミングの取り方。引きつけ方。いい感触だった。納得のいく打撃」と起死回生の逆転打を放った主人公は笑顔だった。

 鈴木崇監督(37)は「ようやく役者になった。ひと夏休みを過ごしたから」と先川の打撃開眼を評した。というのは、強打が持ち味の日本文理で1年夏からレギュラーを張っていた。勝負強い打撃が真骨頂だった。ところが、春先から不振で今春の北信越大会、夏の大会は登録メンバーから外れた。「夏の甲子園をスタンドから見て、ここに立つには秋に向けてしっかりやらなければならない」。そんな決意で打撃フォームを微調整。「バットをトップで構え、振り下ろすようなイメージ」に変えて、この日は4の3で大暴れした。

 投打の中心で活躍する鈴木裕太左翼手(2年)が3回の走塁中に右足首を捻挫した。5回の守備からリタイア。鈴木監督は「発奮材料になった。(鈴木)裕太がいなくなって、やられちゃうの、と試合中の選手たちに問いかけた」。その言葉に強打で呼応した先川は「苦しい試合をものにして自信になる」と言った。【涌井幹雄】