新潟コンビが「勝利の方程式」を引っ提げて甲子園に乗り込む。18年ぶりのセンバツ(23日から、甲子園)出場を決めた国学院栃木は、右腕・水沢龍太郎と左腕・渡辺匠(ともに3年)の新潟リトルシニアOBによる継投で勝ち上がった。水沢が昨秋の公式戦全7試合に先発し、渡辺は2番手で全試合にロングリリーフ。「新潟発」の鉄板リレーを武器に、球春の大舞台でも必勝を誓った。また16日は大阪で組み合わせ抽選会が行われ、国学院栃木は第1日(23日)の第2試合で、英明(四国・香川)との対戦が決まった。

 新潟コンビは栃木の水がよく合った。水沢は「(朝は)新潟より寒いですよ」と苦笑いも、冬は雪とほぼ無縁で、土の上でたっぷり汗を流せる環境。両翼95メートル、中堅125メートルの専用球場を持つ国学院栃木で磨かれ、シニアからチームメートの渡辺とともに、第2の故郷に恩返しした。

 昨秋の新チーム発足から水沢は背番号「1」、入学後に外野手から転向した渡辺は同「11」で主戦を任された。チームは快進撃。決勝で夏7連覇中の作新学院を下し、前回センバツ出場の00年以来となる秋県V。関東大会でも1勝を挙げて8強入りし、関東5枠目で選出された。

 水沢-渡辺の継投がチームの原動力だ。完全分業制を徹底。先発水沢は最大4回まで。中継ぎの渡辺が3~4回を投げ、抑えの宮海土(3年)が締める。県大会初戦を除き、6試合がこの順番の3人による継投だった。水沢、渡辺とも、イニング数は同じ24。柄目(つかのめ)直人監督(35)は適性から、水沢を「練習の取り組み方など準備ができる。立ち上がりを任せられる」と先発に、渡辺を「身体能力が高くて器用。いつでもどこでも投げられる」と中継ぎに配し、結果につなげた。

 夏恒例の新潟遠征も転機だった。昨年は8月に中越、北越、新潟明訓と3日連続でダブルヘッダーを経験。いずれも秋4強に進出した3校を相手に、5勝1分けの好成績を収めた。柄目監督も「新潟遠征でスイッチが入った。『プレ関東大会』のイメージでできた」と、チームが好転するのを実感。水沢は中越の左腕・山田叶夢(3年)との投げ合いで3回を無安打。渡辺も「小学校からの知り合いが多かった。(3番の)坂井(翔太=3年)には打たれたけど、あとは抑えました」と自信を深めた。

 新潟シニアでは、日本文理のエース鈴木裕太(3年)らと日本選手権に出場した。年末年始に帰省した際のOB会では鈴木と再会。昨夏の甲子園で一足先にマウンドに立った元同僚から、球場の雰囲気を聞いた。国学院栃木は前回センバツで4強入りしており、水沢は「無失点でいきたい。秋よりレベルアップした自分を出せたらいい」。渡辺は「夏が最終目標なので、センバツで自信のつく投球ができたら」と、春本番を待ちわびた。【中島正好】