決勝戦は智弁和歌山と大阪桐蔭の「名将対決」となった。史上3校目の2連覇と、3度目のVを狙う大阪桐蔭は三重に延長12回、3-2でサヨナラ勝ち。ドラフト1位候補の藤原恭大外野手(3年)がサヨナラ打を放った。紫紺の優勝旗を懸けて今日激突する。

 大阪桐蔭・藤原は初球を迷わず振り切った。2-2で迎えた延長12回2死一塁。鋭く伸びる打球は左中間を真っ二つに破った。サヨナラのホームインを見届け、少し遅れて歓喜の輪に加わると、ナインから次々に抱きつかれた。「最後は自分がかえしたろうと思っていました。本当に最高にうれしかったです」。初のタイブレーク寸前で三重にサヨナラ勝ちし、春連覇へ王手をかけた。

 自他ともに認める負けず嫌い。高校1年時の50メートル走は5秒9、2年時は当初5秒8だった。体育の授業中、藤原の50メートル走を見ていた教師の「お前はそんな程度なのか」の言葉に発奮。「本気出します」と宣言すると、自身最速の5秒7をたたきだした。この日は5打席目まで無安打だっただけに、「やっと4番らしい役割ができたんじゃないかなと思います」と胸をなで下ろした。

 3回に2点を先制され、今大会で初めて追う展開となった。しかし、追い込まれた9回でもベンチには笑顔があった。新チームから「無敗」を目標に掲げながら、昨秋の神宮大会準決勝で敗れた。敗戦から感じた「劣勢での弱さ」。シート打撃では毎日のように、1点を追う展開やカウント1-2と追い込まれた状況を設定し、劣勢をはね返す強さを身につけた。それが、4番藤原のサヨナラ打につながった。西谷浩一監督(48)は「何が何でも日本一をつかみ取ろうと言っています」。史上3校目の春連覇へあと1勝だ。【磯綾乃】