日大三・井上広輝投手(2年)が、好リリーフで早実に雪辱した。出番が訪れたのは、1点差に迫られた4回無死一塁。安打と犠打でピンチを迎えたが、プロ注目の野村大樹捕手(3年)を外角直球で見逃し三振、川原峻内野手(3年)を左飛に打ち取りピンチを脱した。5、6、7回は毎回奪三振で無失点。8回1死満塁で1球目を投げた直後に右肘の張りで降板したが、流れを引き寄せる快投だった。

 井上 小倉監督に『流れを止めるピッチングをしろ』と言われていたので、それができたのはうれしかったです。

 昨夏のU18高校日本代表だった兄大成(青学大1年)の思いも胸に、マウンドに立った。互いに、寮生活で「対戦前は連絡は取ってないです」と話したが、兄は2年秋、3年春の都大会決勝で清宮(日本ハム)擁する早実に敗戦した。

 井上 負けていたので、(早実は)天敵だった。(チーム内でも)早実に勝とうと話をしていましたし、兄の分も勝てて良かったです。早実に勝てたのは素直にうれしいです。

 今春のセンバツ1回戦の由利工戦に救援し、6回を無失点。自己最速の147キロをマークし、注目を浴びた。視察したスカウトからは早くも、来年のドラフト上位候補の可能性を明言された。この日は右肘の張りで降板したが、井上は「投げきれなかったのは僕の弱さ。監督やチームに申し訳ないです」と話した。

 心配される状態については「(降板する)前の打者に1球投げた時に痛いなと思った。無理するところじゃないと言われましたし、深刻な感じではないと思います」と話した。29日の決勝は登板を回避する可能性が高そうだが、「(野村の見逃し三振は)すごいバッターなので、自信になります。しっかり体力をつけていきたいです」とさらなる成長を誓った。