伝統校の向陽が8回に一挙4得点で逆転勝ちし、7年ぶりの夏のシード権を獲得した。6回から登板し、4回2安打無失点の好リリーフを見せた背番号1の小林亮太投手(3年)は「去年のチームは夏ベスト8で負けて、監督さんに『ベスト8で見る景色と、ベスト4で見る景色は違う』と言われていました。ベスト4を目標にやっていました」と顔をほころばせた。

 向陽は大正時代の1921年に創部で、旧制の海草中時代に1939年、1940年の夏の甲子園を連覇した伝統校。39年は伝説の投手・嶋清一さん(享年24)を擁して優勝した。選手達は入部時に、嶋さんの評伝を1冊ずつ贈られる。小林はストレッチ時なども、時間があれば目を通すと言う。「夏の大会で準決勝、決勝と2試合連続でノーヒットノーランをされて、記録だけ見てもあこがれというか、目標の存在。向陽の投手は近づいていかないといけない方だなと思います」と感銘を受けた。

 進学校でもあり部員のほとんどが練習後、学習塾に通っている。7日からテスト期間になり、練習できるのは1時間程度だが、小林は「勉強することが野球をする条件と言われています」ときっぱり。準決勝の相手は、センバツ準優勝校の智弁和歌山だ。