関根学園が14年夏以来、春季は現校名で初の決勝進出を果たした。昨秋準優勝の中越に12-6。エース西本航紀投手(3年)が右手中指の爪を割りながらも、163球の気迫の完投。打っても4打数2安打6打点と勝負強さを発揮した。日本文理は7-2で加茂暁星を破り、5季連続の決勝進出。

 気力は充実していた。関根学園・西本は9回表の中越の攻撃を3者三振に切って取った。最後の打者、9番小出颯太(3年)へ投じたこの試合163球目はスプリット。「三振を狙っていった」。見逃しで仕留めるとガッツポーズをする。

 9安打7四死球で6失点は納得できる内容ではない。試合前のウオーミングアップで右手中指の爪が割れた。1回表を投げ終えると出血。その後は回ごとにマニキュアを塗ってしのいだ。安川巧塁(よしたか)監督(26)は「打たれるのは織り込み済みだった」と言う。そして「うちのエースですから」と交代は考えなかった。ベンチに西本が戻るたびに「ここで頑張れ」と声をかけ続けた。

 チームメートのバックアップもあった。「みんな、西本を援護しなければと思って打った」。主将の茅野仁英二塁手(3年)が言うように打線は15安打で12得点。その中に8番に入った西本も加わる。8回裏2死満塁から走者一掃の右越え二塁打など1人で6打点の荒稼ぎ。「みんなのおかげで運よくチャンスに打席が回ってきた。思い切って振った」。チームメートに支えられながら投打の中心になった。

 昨春の準決勝の中越戦に先発し、延長11回5-8で敗れた。「絶対に借りを返したかった」と1つの壁を越えた。もう1つ借りがあるのは決勝の相手、日本文理だ。昨秋の県1回戦で7回コールド負け(2-9)している。「対戦したかった。いけと言われれば投げる」。5季連続制覇を狙う絶対王者への挑戦権を獲得し気持ちは引き締まった。【斎藤慎一郎】