<高校野球南大阪大会:近大付4-1狭山>◇8日◇1回戦◇大阪シティ信用金庫スタジアム

 30年前に戦わなければ、この夏はなかったかもしれない。狭山(南大阪)は80年の創立当初、野球部がなかった。学校が住宅地にあったため、バッティングの音やランニング中の声など騒音を考え、創部が禁止されていた。

 7期生だったOBの宮城功さん(48)は友人に誘われて創部へ立ち上がった。高校2年生の時に学校へ訴えると、まずは1年間、同好会としての活動からスタートした。当時の監督には「続けても認められるとは限らない」と言われ、10人以上いた仲間は3人まで減ったが、活動を諦めなかった。3年生の5月、夏の大会直前でやっと創部の許可が下りた。1年生とともに挑んだ最初で最後の公式戦は、大院大高に0-10で6回コールド負けだった。

 宮城さんは10年前から、野球部の試合結果を伝える新聞を作っている。今では600号を数えるほど。この日の試合は近大付に1-4で敗れたが、6回まで1-1の接戦だった。「(当時は)絶対見返そうと思っていました。今日の試合を見て、すごく進歩したなと思いました」と声を震わせた。いつもの新聞でまた、37期生が戦った姿を伝えるつもりだ。【磯綾乃】