投げられない分、バットで貢献した。藤岡工(群馬)の竹田玲苑(れおん)外野手(3年)が好投手の前橋育英・恩田から3安打を放ち、打線をけん引した。「1番左翼」で出場し、3安打1得点。1、3打席目に変化球、2打席目は直球をはじき返した。「次につなぐ意識で。うまく対応できた」と汗をぬぐった。

 守備では捕球した後、下投げで内野手に返球した。中2の時に右肘を剥離骨折。完治した後、原因不明の送球難に襲われた。「イップスになってしまって…。投げ方が分からなくなってしまった」。高校入学後、改善に取り組んだが変わらず。それでも、腐らずに打撃を磨き、下投げのスピードと精度を向上させ、昨夏からスタメンを奪った。

 林陽一監督(37)は「打線の軸なので、欠かせません。今日もよく打ってくれた」と評価した。9回1死一、三塁、竹田は投ゴロ併殺打に倒れ、ゲームセットの瞬間を迎えた。「最後打てなかったのは悔しいですが、充実していましたし、悔いはないです」。スッキリした表情で高校野球生活を終えた。【久保賢吾】