21世紀枠でセンバツに出場した膳所(滋賀)が逆転勝ちで2回戦に進んだ。初回に3点を先制されたが、主将の石川唯斗捕手(3年)のタイムリーなどで反撃。3年連続の初戦突破を果たした。打球方向の分析で話題を集めた「データ班」は新入生6人を加え、8人に増員。豊富になったデータを駆使し、40年ぶりの夏甲子園を目指す。

 データ野球で旋風を吹かせた膳所が、逆転勝ちで2回戦に進んだ。3点を追う2回に石川唯主将の適時三塁打などで同点に追いついた。3回に勝ち越しに成功した後は、落ち着いた試合運びを見せた。石川唯は「チャンスを取り切れなかったし、内容のいい試合ではなかった。2回戦に向けて、課題を修正できるようにしたい」と振り返った。

 「データ班」がさらなる進化を遂げていた。昨春に野球部内に立ち上げ、プレーしない2人の部員が情報収集を専門的に行い、相手打者の打球傾向を分析。大胆な守備陣形がセンバツで注目を集めた。その反響は大きく、新1年生が新たに6人加入。その1人、樋口真有伽さんは「報道で知って、入ろうと思った。もともと野球が好きで、こういう形で関われるのは理想的です」という。この日の試合後は球場に残り、第2試合のスコアをつけた。

 データ班が増えたことで、情報収集力がアップした。春季大会は県内の3会場すべてに派遣。相手の湖南農は春1回戦敗退だったが、データは取っていた。初回の先頭打者は左中間への飛球だったが、中堅手・伊東篤志(3年)はほとんど動くことなく捕球。勝ち進むことで、蓄積したデータは生きてくる。主将の石川唯は言った。「データを取ってきてくれて、支えられているのは大きい。活用して、勝っていきたい」。創部120周年を迎えた伝統校。夏は60回大会を最後に甲子園から遠ざかっている。40年ぶりの頂点へ、膳所が1歩前進した。【田口真一郎】