木更津総合が3年連続7度目の優勝だ! 第100回全国高校野球選手権(8月5日開幕、甲子園)東千葉大会は25日に決勝戦が行われ、昨秋から野手兼投手を務めている野尻幸輝内野手(3年)が成田に完投勝利。チームを聖地に導いた。千葉県では1998年(平10)の市船橋以来となる3連覇で、75年以来の甲子園の頂点を目指す。

 野尻は最後の打者を中飛に打ち取ると、バックスクリーンに向かい雄たけびを上げ両手で気迫のガッツポーズを見せた。「3回目の夏は、自分が連れていくと決めていた。本当にうれしい」。エースで4番の大黒柱で迎えた夏。3回目で最高の笑みがはじけた。

 初回から気持ちのこもった真っすぐを投げ込んだ。春から磨いた制球力でコーナーを投げ分け、キレのあるスライダーもさえた。走者を出すとギアを入れ直し流れを渡さない。ブルペンで控える白井竜馬投手(3年)をよそに、打たれても粘り強く完投勝利を挙げた。4番打者としての働きも忘れない。準決勝のサイクル安打に続き、持ち前の「フルスイング」で5打数2安打1打点。五島卓道監督(64)は「野尻がよくやりましたね」と脱帽した。

 一昨年は早川隆久(早大)、昨年は山下輝(法大)と絶対的エースがいた。昨秋、エース候補の白井が腰痛で離脱すると厳しいチーム状況のまま準決勝敗退を喫した。「例年よりも打つ。その手応えはあった」と、振り返る五島監督は11月、投手力強化のため野尻を野手兼投手へコンバート。「チームのためになるなら」と毎日、暇さえあればブルペンに入り投げ続けた。関東大会では国士舘戦で5回1失点で勝利。白井のケガも完治し、根本太一投手(2年)、新戦力の篠木健太郎投手(1年)も成長。投打にバランスが取れたチームで夏を迎えた。

 新チームが始まったころ、五島監督が「このチームに足りないもの」と比護涼真主将(3年)に手渡したのは「思考は現実化する」(ナポレオン・ヒル著)が書かれたプリントだった。以後、チームはそのワンフレーズを朝練習の前に全員で復唱し気持ちを高めてきた。『私はできる。そう考えて練習という行動力がある人が、最後は勝つ』というフレーズ。3連覇への強い気持ちを貫いた木更津総合が、甲子園でも勝つ。【保坂淑子】