力及ばなかった。歴史には名を刻んだ旭川大高(北北海道)だが、25年ぶり甲子園勝利の夢は敗れた。大会初のタイブレークにまで突入した熱戦。端場雅治監督(49)は「これが甲子園。このチームでも勝たせてもらえないのか」と悔やんだ。

 劇的な展開は、仲間の結束から生まれた。1点リードの8回2死の守り。左翼の持丸泰輝(2年)がライナーを好捕したかに見えたが、ワンバウンドと判定された(記録は安打)。嫌な流れの中、四球を挟んだ後の打球は、再び持丸の元へ。今度はなんでもない飛球をグラブに当てて落球、逆転を許した。「申し訳ない」。責任を感じ、顔には悲壮感が漂った。

 それでも土壇場の9回だ。先頭の沢口魁斗(3年)が中前打で出塁すると、青木亮樹主将(3年)が犠打でつなぎ、中筋大介(3年)の左翼線適時二塁打で追いついた。先輩たちの奮闘。ベンチの持丸の目には涙があふれた。

 端場監督の手首には、過去の甲子園出場時と同じ、傷だらけの腕時計がつけられていた。「今回1勝したらご褒美に」と新調も考えていたが、5度目の甲子園挑戦も白星には届かなかった。青木主将は「端場監督の野球を信じていれば全国で通用すると後輩たちに伝えたい。もっと粘り強いチームになってほしい」と力を込めた。スタンドを感動させ、胸を打った激闘。夢の続きは、後輩たちに託された。【山崎純一】

 ▼旭川大高が惜敗し、北北海道勢は夏の甲子園で7年連続初戦敗退となった。11年1回戦で白樺学園が鳥取商(鳥取)に3-2で勝利したのが最後。