第100回全国高校野球選手権記念大会は、第13日の3回戦4試合が行われる予定で、横浜(南神奈川)や金足農(秋田)が登場する。

 元球児による「レジェンド始球式」は報徳学園OBの金村義明氏が務める。81年夏に早実・荒木大輔や名古屋電気(現愛工大名電)工藤公康との投げ合いを制し優勝。81年、近鉄にドラフト1位で入団し、99年の引退まで1262試合、打率2割5分8厘、127本塁打、487打点。

<見どころ>

【第1試合(8:00) 近江(滋賀)-常葉大菊川(静岡)】

 近江は底力ある打線で準Vした2001年大会以来、17年ぶり8強進出を狙う。初戦は今春センバツ準優勝の智弁和歌山(和歌山)を4番北村の2本塁打など3発で撃破。2回戦(対前橋育英)はサヨナラ勝ちした。

 初戦2発の北村が打率4割4分4厘、5打点で打線をけん引。1番木村は前橋育英戦で3安打。打率6割超え、切り込み隊長として期待される。

 常葉大菊川はエース漢人は2試合で15イニング投げ7失点(自責)、防御率4・11も2回戦(対日南学園)では完封し状態は上向き。榛村は2回3分の2を無得点に抑えており好調だ。

 5番伊藤と3盗塁の9番神谷はいずれも打率5割をマーク。勝てば08年以来10年ぶり3度目の8強。“ノーサイン”野球で突破口を開く。

◆近江のおもなOB 阪神植田海、DeNA京山将弥

◆常葉大菊川のおもなOB DeNA田中健二朗、広島桑原樹

 

 

【第2試合(10:30) 金足農(秋田)-横浜(南神奈川)】

 金足農は、勝てば1995年以来23年ぶり3度目の8強入り。阪神藤川球児ばり「火の玉ストレート」を誇るエース吉田は2試合連続完投、防御率2・00と安定している。2戦計27奪三振は全体のトップだ。「秋田のドクターK」は、04年涌井(現ロッテ)06年田中将大(現ヤンキース)らが夏の甲子園で成し遂げた3試合連続2桁奪三振に肩を並べるか。

 1回戦(対鹿児島実)では157球(14K)、中5日空いた2回戦(対大垣日大)では154球(13K)と力投。3回戦は中2日登板となるが計311球の疲労はどこまで回復しているか。最速150キロの吉田だが、2回戦で149キロをマーク。大阪桐蔭・柿木が出した今大会最速151キロを上回るか。

 吉田を援護したい打線は2試合で打率3割5分。1番打者の菅原天空(たく)の「天空」は宮崎駿アニメ「天空の城ラピュタ」に由来し飛躍を期待され命名。甲子園では飛躍を遂げ、打率4割4分4厘と好調。横浜戦でも及川、板川ら好投手相手にリードオフマンの役割を果たせるか。菅原以外では6番高橋が5割、8番菊地亮太が6割6分7厘、7番菊地彪吾が3割7分5厘と高打率。「打倒横浜」へ、吉田、打川、大友のクリーンアップに当たりがほしい。

 横浜は、勝てば筒香、倉本(現DeNA)を擁した2008年以来、10年ぶり8度目の8強入り。投手陣はエース板川が2試合で9イニングを投げ被安打6、無失点と安定感抜群。及川も計7回3分の1を投げ被安打8、4失点とまずまず。先発はローテ通りなら1回戦に先発したサウスポーの板川が予想されるが、金足農打線は左打者が2人、右7人。右腕黒須にも先発の可能性はあるかも知れない。

 打線は2試合連続2桁安打で打率3割2分4厘、計15得点を奪っている。特に板川が6割6分7厘と“二刀流”ぶりを発揮。2番河原木、5番内海がいずれも4割4分4厘と好調だが、プロ注目の4番万波が9打数無安打。高校通算40本塁打を誇る「ハマの大砲」がそろそろ眠りから目を覚ますか。

 秋田勢対神奈川勢の対戦成績は春夏合わせて1勝1敗。(夏は神奈川勢の1勝0敗)。

◆金足農のおもなOB ヤクルト石山泰稚、元中日小野和幸

◆横浜のおもなOB 中日松坂大輔、DeNA筒香嘉智

 

 

【第3試合(13:00) 下関国際(山口)-木更津総合(東千葉)】

 下関国際のエースで4番を務める鶴田は2試合253球を1人で投げ抜いている。2回戦の創志学園は今大会好投手の西に投げ勝った。防御率は2・37で16奪三振と気迫の投球を見せる。打っては7打席無安打と調子が今ひとつだが、6、7、8番が当たっているだけに、鶴田のバットが復調すれば打線のつながりも出てくる。

 2回戦は「待球作戦」で創志学園・西に5回まで110球を投げさせた。5回まで初球に手を出さず、バントの構えや待てなど細かいサインプレーを駆使。チーム打率2割4分2厘ながらも9回に逆転した。戦略的な野球で2戦1失点の木更津総合にどこまで食い下がれるか。勝てば初の8強進出、山口勢では2005年宇部商以来17度目になる。

 木更津総合は4番でエースの野尻が投打で活躍する。根本と継投で2試合でわずか1失点。要所を締め、打線にリズムをもたらした。打っても打率3割3分3厘をマークし勝利に貢献。1年夏からメンバー入りし、チームの精神的な柱を担う。

 8番大曽根の打率6割6分7厘を筆頭に、5番太田は5割、1番東と3番山中が4割と抜け目がない打線だ。8強進出なれば、2年ぶり2度目。今回は千葉から2校出場だが、中央学院(西千葉)は初戦敗退。千葉勢の意地を見せる。

◆下関国際のおもなOB ロッテ宮崎敦次、東農大北海道・市丸貴大

◆木更津総合のおもなOB 楽天与田剛コーチ、DeNA井納翔一

 

 

【第4試合(15:30) 日大三(西東京)-龍谷大平安(京都)】

 日大三は勝てば優勝した2011年以来、7年ぶり8度目の8強入りとなる。強力打線は今夏も健在で、2試合連続2桁安打で計24得点。チーム打率3割9分7厘と高数字を誇る。4番大塚、5番中村が打率4割超えと好調。注目の右のスラッガー3番日置は1割2分5厘だが、2回戦(対奈良大付)ではライナー性の打球が野手の正面を突く不運も。状態は上向いている。

 投手はエース中村、2試合連続救援の河村、2回戦(対奈良大付)で150キロをマークしたU18日本代表候補の井上が好調。龍谷大平安は左打者が少なく、右のエース中村の先発が予想されるが、前回先発した井上を先発、救援のどこで起用するかも注目。

 龍谷大平安は、勝てば2008年に校名変更して以来初の8強。平安時代を含めると2001年夏以来、17年ぶり18度目のベスト8となる。1回戦では春夏通じてチーム100勝、2回戦では京都勢夏120勝、3回戦に勝てば、京都勢春夏合わせて200勝と今回も“プレミアつき”。

 打線は2試合で打率3割4分3厘。1回戦(対鳥取城北)でサヨナラ打の2番安井が打率6割6分7厘、4打点。5番馬場と8番小寺も打率5割と好調。1回戦4打数無安打だった4番松田も2回戦で4打数3安打と状態は上向き。

 投手陣はエース小寺が2試合に先発し、計16回3分の1を投げ被安打12、3失点(自責3)、防御率1・63と抜群の安定感。強力打線をいかに封じるか。

 両校は過去に2度対戦し、1962年のセンバツ1回戦は7-1で日大三が勝利、2003年夏の1回戦は8-1で平安が勝利している。

 東京勢対京都勢は過去15勝10敗で東京勢がリード。(夏は京都勢の6勝5敗)。

◆日大三のおもなOB ヤクルト近藤一樹、阪神高山俊

◆龍谷大平安のおもなOB 元広島衣笠祥雄、元阪神桧山進次郎