2人の得点力の高さが、その5球に凝縮されていた。高校日本代表の1番大阪桐蔭・藤原恭大外野手(3年)と2番報徳学園・小園海斗内野手(3年)が、あっという間に宮崎の観客を沸かせた。初回、藤原が初球をフルスイング。打球が左中間へ飛ぶと、迷うことなく一塁ベースを蹴り、二塁打とした。続く小園も4球目を振り抜き、一塁強襲の適時打。「フジゾノ」コンビが、わずか5球で先制点をもぎとった。ここまでの実戦3試合で本調子といかなかった藤原も「1回に関してはすごく良かった」。俊足と強烈な打撃が、このコンビにはある。

藤原と小園は中学時代、枚方ボーイズでともにプレー。当時も同じ打順に座っていた。2年生ながら出場した昨年のU18ワールドカップでも、1、2番で打線をけん引した。正月の帰省の際には一緒にバッティングセンターで汗を流し、この夏はグラブをおそろいにした仲。藤原が「中学校から一緒にやってきたので、一番打線が活発になると思う。自分たちが打線に座っているほうが得点にからみやすい」と言えば、小園も「頼れる一番が恭大。勢いで1、2番で点を稼いで、積極的にプレーしていきたいと話していました」。互いに信頼し合い息もぴったりだ。

最終回には新たなコンビもできた。9回から登板した吉田のお決まり「侍ポーズ」。振り返り「シャキーン」というポーズを見せた吉田に、中堅の藤原が「シャキーン」と呼応した。観客は一斉に沸いたが「吉田君のおかげです」と藤原は控えめに照れ笑い。本番でも披露する予定だ。

複数のパターンを試してきた永田裕治監督(54)も「当初は1、2番を藤原、小園で考えていた」という。アジアの頂点へ、「フジゾノ」コンビが、その道を切り開く。【磯綾乃】