大麻が札幌琴似工を6-4で下し、昨春以来5季ぶりの勝利を挙げた。1年生エース左腕で4番を打つ小川凌平が、4-4の7回1死二、三塁で勝ち越しの2点左前打を放つなど2安打3打点。今春ユニホームを新調して以降、3季目での初白星に貢献した。

取って取られて取り返し…最後は締めた。一塁の守備位置から9回に再登板した左腕小川は、味方に最敬礼した。「抜けたと思った。同級生の不破に助けられた。本当に感謝です」。2死満塁の窮地。相手の3番打者の打球は、一、二塁間を鋭く突くも、不破拓真二塁手(1年)が横っ跳びして二ゴロに抑えた。

ラストは助けられたが、投打で小川劇場だった。初回1死二塁で左越えの適時打を放つと、投げても公式戦初登板で5回まで1安打投球。6回に3失点して1度マウンドを譲ったが、同点の7回1死二、三塁では勝ち越しの左前2点適時打を放ち、試合を決めた。山本直洋監督(39)は6回の降板直後、「逆転できたら、また9回に登板するからな」と伝えた。自らバットで借りを返し、緊迫の最終回も、堂々と切り抜けた。

1年生エース兼主砲の活躍で“新生大麻”として1勝を挙げた。昨春、10年に岩内を南北海道大会に導いた山本監督が就任。「いろんなものをゼロから一新するいいタイミングだった」と室内練習場の整備や清掃に着手し、今春にはユニホームもモデルチェンジした。縦縞は踏襲したものの、ベースを白からライトグレーに変更。さらに「OHASA」の表記を「よりシンプルで読みやすく」(山本監督)と「OASA」に変えた。

今夏は、この日と同じ札幌琴似工に地区初戦で2-5と敗れていた。新ユニホーム1勝と同時に夏のリベンジも果たし、小川は「同じ相手に2度続けて負けたくなかった」。気持ちもルックスも心機一転し、秋は91年以来27年ぶりの全道切符を目指す。【永野高輔】