秋季高校野球北信越大会は13日に開幕する。1回戦で星稜(石川1位)と対戦する関根学園は白石圭悟二塁手(2年)がキーパーソンになる。支部予選は代走、代打要員。ところが県大会に初先発すると4試合13打数6安打、打率4割6分2厘で7打点と活躍した。北信越大会も強豪相手に県大会の勢いを加速させる。

白石はまさに“シンデレラボーイ”だ。安川斉監督(58)の期待の外にいた控え選手が県大会で評価を大きく上げた。支部、県大会の背番号17は、北信越大会では背番号4に変わる。「どんなにいい投手に対しても自分の打撃をしたい」と相手が星稜でも自然体だ。指揮官が「格上の格上」と評す強豪だが、持ち前の広角打法に徹するつもり。「外角なら中堅から右翼方向へ逆らわずに打ち、内角の球は左翼に強い打球を打ちたい」。

8番、二塁手として先発に初抜てきされた県大会1回戦の開志学園戦で活躍の足掛かりをつかんだ。0-0の4回2死二、三塁で先制の左越え2点二塁打を放ち、乗った。「自分でも打てると自信になった」。高校野球デビューの支部2回戦・小千谷西戦は代走、3回戦の塩松十総(連合チーム)戦は代打で凡退。「秋が初ベンチで緊張していた」という感情は県大会で消えた。

新チームが始動時はBチームの中にいた。しかし練習で手を抜かなかった。フリー打撃はライナー性の打球とゴロ打ちを意識するため室内練習場を使用。マシンを外角に設定し逆方向に打ち返す技術を身につけた。スイング数はティー打撃を含め1日600~1000本。糸魚川市の実家から電車2本を乗り継いで通学し、朝の自主練習にも7時半から参加した。

8月下旬に白石は右親指を骨折。イレギュラーした打球に右手を出した。Aチーム入りし間もなくの不運。ところが意欲的な姿勢を貫いた。手術1週間後には患部をテープで固めて練習に合流した。「夏に頑張ったという意味で期待せずに秋のベンチに入れた。いい意味で予想が外れた」。安川監督は県大会の白石をこう評したが、北信越ではモットーの「全力プレー」で期待する指揮官の予想を裏切らない。【涌井幹雄】